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便秘解消に効果的な食べ物や飲み物は?
排便を促すマッサージやツボも紹介

「便秘を解消したい」
「便秘解消には結局何をすれば良いの?」

このような悩みをお持ちの方は多くいらっしゃいます。

便秘を解消するためにはさまざまな手段がありますが、もっとも重要なのは大腸の状態を整えることです。

しかし「大腸の状態を整える」と言っても、具体的に何から始めれば良いのかわからないですよね。

今回は大腸のはたらきや整え方、便秘解消に役立つ食べ物などをまとめています。
すぐに実践できる簡単な運動やツボなども紹介しているので、便秘に悩む方はぜひ参考にしてみてください。

排便の仕組み

便秘解消について知識を深める前に、まずは排便の仕組みをおさらいしておきましょう。

便がつくられる工程

口から摂取した食べ物は「食道→胃→十二指腸→小腸→大腸」の順番で進んでいきます。

食べ物は胃のなかで胃液によってどろどろに溶かされ、十二指腸内では消化液によって消化が行われます。

消化液や水分とともに形を変えながら体内を進んでいき、最後に辿り着くのが大腸です。

小腸では栄養素や水分が吸収され、さらに大腸内で水分が吸収されることで固形状の便になります。

食べ物が消化吸収を経て便として排出されるまでは、約24~72時間かかると言われています。

便の状態を左右する大腸のはたらき

大腸内で固形になった便をスムーズに排出させるためには「ぜん動運動」が必要です。

大腸のぜん動運動とは腸が強く縮んでから緩む動きのことで、これによって便を外に押し出します。

大腸は便を固形にすることと、ぜん動運動で排出させる2つのはたらきを担っているのです。

便秘の種類

厚生労働省が実施した調査では、3.59%の人が便秘の自覚症状があると回答しており、65歳以上の人に絞った場合は7.12%にものぼります。参照:厚生労働省 2022年(令和4年) 国民生活基礎調査

多くの方が自覚症状を感じている便秘には、実はいくつかの種類があることをご存じでしょうか。

代表的なものは以下の2種類です。

排便回数減少型

1週間の便の回数が3回未満の方は、排便回数減少型の便秘です。

便は大腸のなかに長時間とどまると、硬くなってきます。

硬すぎる便は排便しにくく、痛みを伴うこともあるでしょう。

排便困難型

排便困難型は便がスムーズに出せなかったり、排便後の残便感があったりする方が該当します。

直腸まで便がきていても恥骨直腸筋が緩まず、なかなか便が出ないケースが多いです。

便秘に悩む方の2~3割は、この排便困難型に該当すると言われています。

便秘になる原因

便秘になる原因は、大きく分けて2つあります。

1つは器質的要因で、大腸がんや直腸がんなどの病気によって腸管がふさがれてしまうケースで、「器質的便秘」と呼ばれます。

2つめは機能的要因で、前述した「排便回数減少型」や「排便困難型」はこれにあたり、腸内のぜん動運動や腹圧の低下が影響しているケースで、「機能的便秘」と呼ばれます。

病気が原因の便秘は専門家による治療が必要ですが、機能的便秘に関しては、ある程度自分で対処することが可能です。

具体的には、排便習慣の見直しや運動、食生活の改善で便秘が解消されることもあります。

便秘を解消するためには、まずは自分の状態を把握し、症状にあう解決方法を見つけることが大切です。

便秘解消に役立つ食べ物

便秘解消に役立つ身近な食べ物を紹介します。

食事はバランスがもっとも重要なので、これらの食品だけを摂取すれば良いというわけではありません。

以下で紹介する食べ物を取り入れつつ、栄養バランスの良い献立を心がけましょう。

発酵食品

ヨーグルトやぬか漬け、キムチなどの発酵食品は乳酸菌が含まれており、腸内環境を整えるのにオススメです。

ビフィズス菌を含む食品

実は、大腸の善玉菌であるビフィズス菌と乳酸菌の割合は、99.9%がビフィズス菌で、0.1%が乳酸菌です
※Ogata et al.,Microbial Ecology in Health and Disease,1999から算出 乳酸菌を旧Lactobacillus属とした場合

ビフィズス菌がつくる酢酸が、大腸のぜん動運動を促してくれます。

ビフィズス菌は一般的な食品には含まれていないため、「ビフィズス菌入り」と書かれたヨーグルトやサプリメントで摂るのがよいでしょう。

食物繊維を含む食品

腸内の善玉菌を増やすためには、善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維を含む食材がオススメです。

具体的には、もち麦・ごぼう・アボカド・オクラ・納豆・海藻などが挙げられます。

これらの水溶性食物繊維を含む食材は、腸内フローラを整えて、便をやわらかくする手助けをしてくれます。
※腸内フローラとは、大腸内にある腸内細菌の集合体のこと。多数の腸内細菌がお花畑のようにひしめき合っていることから、腸内フローラと呼ばれるようになりました。

また、便の量を増やすには、「不溶性食物繊維」を含む食材を摂るとよいでしょう。
具体的には、ごぼう・さつまいも・きのこ類・豆類などが挙げられます。 
 
便秘解消には、これら2種類の食物繊維をバランスよく摂ることが効果的です。

オリゴ糖を含む食品

オリゴ糖を含む食材を摂取することも、便秘解消に役立ちます。

はちみつや玉ねぎ、バナナなどの食品からも摂取できますし「オリゴ糖」そのものが液体状で売られていることもあります。

オリゴ糖は善玉菌のエサになるので、乳酸菌やビフィズス菌と合わせて摂取すると良いでしょう。

便秘解消に効果的な飲み物

「このドリンクを飲めばすぐに便秘が解消される」といった、万能な飲み物はありません。

ただし便秘解消に役立つ食べ物と同じで、オリゴ糖や食物繊維を含む飲み物は善玉菌を増やす効果が期待できます。

発酵食品の一種である甘酒や、オリゴ糖を含むハチミツを使ったドリンクなどは、おなかの調子を整えるのに役立ちます。

その他には、ビフィズス菌を摂取できる「ビフィズス菌入りのヨーグルト飲料」もオススメです。

便を出やすくする3つの方法

便秘を解消するためには、大腸の動きを活発にすることが重要です。

ここでは、食事以外で便を出やすくする方法を紹介します

「の」の字マッサージ

便秘解消に有効なマッサージのひとつとして「『の』の字マッサージ」がオススメです。

やり方は簡単で、おへそのあたりに手を置き、ひらがなの「の」の字を描くように指先と手のひらを動かしていくだけです。

便が移動する方向を意識しながらマッサージすることで、大腸のぜん動運動を促せるでしょう。

お尻の筋肉を動かす運動

大腸のはたらきを助けるためには、適度な運動も効果的です。

無理に激しい運動をする必要はないので、できる範囲でチャレンジしてみてください。

寝ながらできる「お尻の筋肉を動かす運動」を紹介します。

  1. 仰向けに寝て膝を曲げる。このとき手は両脇に置き、足は肩幅に開く
  2. かかとを床にしっかりつけて「1・2・3」のリズムでお尻を上げる
  3. 次に「1・2・3」のリズムでゆっくりお尻を下げる
  4. 2.3の工程を10回繰り返す(頭と肩が床から離れないように行う)

回数は10回を目標に、無理のない範囲で行ってみましょう。

ツボ押し

便秘解消には「ツボ押し」も有効です。

腸のはたらきにアプローチできるツボを紹介します。

  1. 【合谷(ごうこく)】親指の骨と人さし指の骨が交わるところ:腸の動きにアプローチできるツボ
  2. 【神門(しんもん)】手首の内側のシワを小指側になぞり、骨のでっぱりの手前にあるくぼみ:便秘のときにオススメのツボ

3秒押してゆっくり離す動作を、3~5回繰り返すのが効果的です。

気持ちいいと感じる程度の強さで押してみましょう。

便秘解消のコツ

食事や運動以外にも便秘を解消するためのコツがあります。

少し意識しておくだけでも便秘解消に役立つ可能性があるので、ぜひ試してみてください。

硬水を選ぶ

便秘解消には水分補給が大事です。水分が十分に摂れていないと、便が硬くなり、便のかさが少なくなって、腸内で移動しにくくなります。 

さらに、便秘気味のときは軟水よりも、マグネシウムを多く含む硬水がオススメです。
マグネシウムには体内で水を集める性質があり、便の水分量を増やしてくれます。
やわらかい便のほうがスムーズに排便できるため、便秘解消に効果的だと考えられます。

一方、下痢気味のときは、胃腸への負担が少ない軟水のほうがオススメです。

排便時の姿勢に気をつける

スムーズに排便するポイントとして、便座に座ったときの姿勢にも気をつけてみましょう。

便を押し出す際の姿勢が良くないとおなかに力が入りにくく、いきめないことがあります。

洋式トイレの場合は便座に前かがみに座り、視線を下方向にして、ひじを両ひざにおく体勢をとってみてください。

この体勢をとると、直腸から肛門までが直線になるので便の移動がスムーズに行えます。

ストレスをためない

強いストレスのある環境は、便秘になる原因のひとつです。

たとえば引っ越しや転職などで大きく住環境に変化があった際、便秘になる方が多くいます。

ストレスがかかると腸のはたらきが弱くなることがあり、これによって便を押し出すぜん動運動が弱くなってしまうことがあります。

何かとストレスの多い現代社会では難しいことも多いですが、できるだけリラックスできる時間を作るようにしてみてください。

便秘解消のカギ「大腸」について知ろう

便秘を解消するためには、大腸について詳しく知ることが大切です。

大腸は身体の臓器のなかでも重要な役割を担っていて、おなかだけではなく全身の健康状態に深く関わっているといわれています。

腸内環境を整えることで、便秘や下痢などのおなかの不調を起こしにくくなります。

便秘解消のカギとなる大腸の状態を整えるため、食事の見直しや運動など、出来ることからはじめてみましょう。

監修者コメント

管理栄養士
平野ふみ

私たちの体調のバロメーターをみる上でも、毎日の排便の状態は重要です。日頃から便通に良い食べ物も取り入れていきましょう。便が排出されるまでの流れを知ることで、スムーズな便通のリズムが整っていきます。理想は「健康的なバナナ1本サイズ」の便通です。腸内で悪玉菌が増えると便が硬くなりやすく、便秘にもつながります。おすすめは善玉菌のエサにもなるオリゴ糖が含まれるはちみつやフルーツと、ヨーグルトの組み合わせです。

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