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善玉菌とは?悪玉菌との違いや腸内環境のセルフチェック方法を紹介
「善玉菌・悪玉菌って何だろう?」
「自分の体内にはどのような菌が存在するのだろうか?」
菌は普段、目に見えるものではないので、身体に良い・悪いと聞いても実感しにくいことが多いのではないでしょうか。
私たちの腸内には、いわゆる「善玉菌」とよばれる、腸や身体に良いはたらきをする菌と、「悪玉菌」とよばれる、悪いはたらきをする菌など、数百種類の菌が存在しています。
一般的に、腸内細菌の種類が豊富で(多様性が高く)、善玉菌が優位な状態がバランスのよい腸内フローラといわれ、腸内フローラのバランスが崩れると様々な不調を生じると考えられています。今回は、善玉菌と悪玉菌の違いや、腸内環境を手軽にチェックする方法を紹介します。
善玉菌を増やす食材もまとめているので、腸内環境を整えたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
善玉菌とは?
「善玉菌」とは、ビフィズス菌や乳酸菌など、身体にとってよい働きをする腸内細菌のことです。
摂取した善玉菌は腸内に長くとどまることはできず、便として排泄される性質をもっています。
そのため良い腸内環境をキープするためには、常に善玉菌を摂取し続けることが重要です。
悪玉菌とは?
「悪玉菌」とは、ウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌など、身体に良くない影響を与えるとされる腸内細菌のことです。
悪玉菌が増えると、腸内にアンモニアやインドールなどの腐敗産物が増え、便やおならが臭くなったり、善玉菌が増えにくくなるとされています。
悪玉菌を増やさないためには、食事内容に気をつけたり、規則正しい生活を心掛けたりすることが重要です。
善玉菌が少ないとどうなる?
大腸内の善玉菌が少ないときは、悪玉菌が優位になっている状態です。
悪玉菌が優位になるなど、腸内フローラのバランスが崩れると、さまざまな不調を起こしやすくなり、便秘や下痢をはじめ、肌荒れ・肩こり・だるさなどの原因になるとも言われています。
腸は全身の組織とつながっているため、おなかだけではなく身体中のすべての働きに影響を与える可能性があるのです。
腸内に生息する善玉菌の種類
腸内に生息する代表的な2つの善玉菌について紹介します。
ビフィズス菌
ビフィズス菌はヒトの大腸にすむ代表的な善玉菌です。
ビフィズス菌と乳酸菌の大腸内での割合は「ビフィズス菌99.9%」に対して「乳酸菌0.1%」です。
*乳酸菌を旧Lactobacillus属とした場合
*出典:Ogata et al., Microbial Ecology in Health and Disease. 1999 11 (1): 41-46
ビフィズス菌の割合が圧倒的に多いことから、腸内環境を整えるために非常に重要な菌であることがわかります。
近年の研究では、おなかの調子を整えるだけでなく、アレルギー症状の緩和や認知機能の維持などにも効果があるという研究結果が出ています。
ビフィズス菌がおなかの中でつくるものは「乳酸」と「短鎖脂肪酸(酢酸)」です。
短鎖脂肪酸(酢酸)は悪玉菌の増殖を抑えたり、腸管バリア機能を高める役割役割を担っています。
乳酸菌
乳酸菌は乳酸を多く作る菌の総称で、自然界に広くすんでいます。
乳酸菌は主に小腸ではたらき、悪玉菌の増殖を抑えるほか、コレステロールを低下させたり、免疫機能を高めたりする効果があると言われています。
【セルフチェック】腸内に善玉菌と悪玉菌どっちが多い?
「善玉菌と悪玉菌の違いはわかったけれど、自分の腸内の状態はどうなのだろう?」
このような疑問を持たれる方も多くいるでしょう。
善玉菌・悪玉菌などの腸内細菌の数値を調べる検査やキットなどもありますが、以下では自分で簡単にチェックできる方法を紹介します。
腸内環境は日々変化していくので、いつでも自分で判断できる知識を身につけておくと役立ちます。
便の形状をチェックする
腸内環境を把握するには「便」をチェックすることがオススメです。
善玉菌が多く健康な便は「バナナのような形で、やや黄色みを帯びた茶色」が特徴です。
このような便は水分量が80%程度あるので、排泄時にするっと出てくることが多いでしょう。
もし灰白色や黒い便、内部が赤色の便が出た際は病気のサインかもしれません。
普段と違う便が続いたり激しい腹痛を感じたりしたら、早めに病院を受診しましょう。
便のニオイをチェックする
腸内環境の状態を「ニオイ」で判断する方法もあります。
便のニオイが臭いと感じた場合は、悪玉菌が増えているサインです。
悪玉菌が増えると腸内に腐敗物が溜まって、嫌なニオイがしやすくなるからです。
腸内環境が良くなると、便のニオイも変化しますので、排便の際は、便の形状と合わせてニオイのチェックもしておくと良いでしょう。
善玉菌を増やすにはどうすればいい?
善玉菌を増やすための3つのポイントを解説します。
日頃から善玉菌を増やすことを意識した行動をすることが大切です。
積極的に善玉菌を摂取する
善玉菌を増やすには、善玉菌そのものを積極的に摂取することが効果的です。
ビフィズス菌や乳酸菌が含まれる食品などを、意識して摂取するとよいでしょう。
適度な運動をする
腸内環境を改善させるためには、ウォーキングや有酸素運動を行うことも有効です。
簡単なスクワットやエクササイズなどもオススメなので、無理のない範囲でチャレンジしてみてください。
有酸素運動によって身体全体の血の流れが良くなると、腸の動きにも良い影響を与えてくれます。
規則正しい生活を心がける
不規則な生活は悪玉菌の増加につながるため、できるだけ生活のリズムを整えましょう。
食事や睡眠の時間がバラバラだと、身体に負担がかかってしまうことがあります。
腸は消化器官としてのはたらきだけでなく、ウイルスの侵入や増殖などを防ぐ「門番」の役割も担っています。
善玉菌を増やし腸を良い状態に整えることで、さまざまな身体の不調を減少させる効果も期待できるでしょう。
善玉菌を増やせる食べ物
ここでは、善玉菌を増やせる食べ物をいくつか紹介します。
食生活はバランスが大切なので、これらの食べ物だけでなくいろいろな栄養素を適度に摂取することを心掛けてみてください。
善玉菌を補給できる食べ物
前述の通り、善玉菌の中でも特に大腸のために摂取したいのがビフィズス菌です。
ビフィズス菌は食事から摂取するのが難しいため、ビフィズス菌入りヨーグルトやサプリメントを活用するのがよいでしょう。
そのほか、善玉菌のうち乳酸菌が含まれる代表的な食品は「発酵食品」です。
具体的にはヨーグルト・チーズ・塩麹・ぬか漬け・キムチなどが、手軽に入手しやすい食材です。
善玉菌のエサになる食べ物
善玉菌のエサになる代表的な成分は「オリゴ糖」と「食物繊維」で、これらは「プレバイオティクス」と呼ばれています。
プレバイオティクスを摂取することで腸内の善玉菌が増殖し、腸内環境を良好な状態に近づけられます。善玉菌のエサになる食材を選ぶ際は、以下の3つのカテゴリーを覚えておくと役立ちます。
- 水溶性食物繊維を含む食品
もち麦・ごぼう・アボカド・オクラ・納豆・海藻 など - オリゴ糖を含む食品
りんご・バナナ・玉ねぎ・はちみつなど
これらの食材を善玉菌と合わせて摂取することで、相乗効果が期待できるでしょう。
善玉菌を増やすレシピ
ここでは善玉菌を増やすために効果的な、オススメのレシピを3つ紹介します。
ヨーグルトだれの冷しゃぶ
乳酸菌とビフィズス菌を摂取できる、ヨーグルトを使用したレシピです。
材料
- 豚ロース薄切り肉(しゃぶしゃぶ用):200g
- みず菜:100g
- ミニトマト:6個
- かいわれ大根:1/2パック
- 大葉のせん切り:6枚分
ヨーグルトだれ
- ビフィズス菌入りプレーンヨーグルト:100g
- 練りごま(白):大さじ2
- 砂糖:大さじ1/2
- しょうゆ:大さじ1
- みりん:小さじ2
- レモン汁:小さじ1/2
- 塩:少々
作り方
- 1. 豚肉は酒(分量外)を加えた熱湯でさっとゆでて冷水にとり、ざるに上げて水気を切ります。
- 2. みず菜は長さ5cmくらいに、ミニトマトは4等分に切ります。
- 3. ヨーグルトだれの全材料を混ぜ合わせます。
- 4. 皿に2、かいわれ大根、1を盛り付け、3をかけて大葉をのせます。
- 画像付きのレシピはこちらから見られます。
パイン&バナナのフローズンヨーグルト
発酵食品のヨーグルトと、バナナを組み合わせたデザートのレシピです。
材料
- パイナップル(果肉):100g
- バナナ:1/2本
- ビフィズス菌入りプレーンヨーグルト:200g
- 砂糖:30g
- チャービル:適量
作り方
- 1.パイナップルとバナナは1cm角に切ります。
- 2.ボウルに、ヨーグルトと砂糖、1を入れて混ぜ合わせ、密閉容器に流し入れて冷凍庫で凍らせます。
- 3.固まったら3cm角に切ってグラスに盛り付け、チャービルを飾って完成です。
- 画像付きのレシピはこちらから見られます。
水切りヨーグルトのヘルシーサンド
オリゴ糖を含む野菜である、玉ねぎを使ったレシピです。
材料
水切りヨーグルト
- ビフィズス菌入りプレーンヨーグルト:100g
- 塩、ブラックペッパー:少々
- ベーコン:1枚
- 玉ねぎ:30g
- トマト:20g
- レタス:20g
- 食パン(8枚切り):2枚
- 粒マスタード:大さじ1/2
- はちみつ:小さじ1/2
作り方
- (準備)水切りヨーグルトを作ります。
ザルの下に一回り小さい器を置き、ザルの上にキッチンペーパーを広げます。ヨーグルトを入れて重しをのせラップをして、約半量になるまで冷蔵庫で水気を切ります。 - 1. 水切りしたヨーグルトは、塩とブラックペッパーで味をととのえます。
- 2. ベーコンは半分に切り、軽く焼きます。玉ねぎはスライスして、水にさらします。トマトは輪切りにし、トマトとレタスはペーパーで水気をふき取ります。
- 3. 食パンは、1枚の片面に粒マスタードとはちみつを塗ります。
- 4. もう1枚の食パンに1を塗り、レタス、トマト、玉ねぎ、ベーコンをのせて3ではさみます。ラップで包んでなじませ、半分に切って完成です。
- ※このレシピには、はちみつを使用しています。1歳未満のお子さまには食べさせないでください。
- 画像付きのレシピはこちらから見られます。
食生活を見直して善玉菌を増やそう
善玉菌を増やすことで便秘改善の効果が期待でき、健やかな身体を目指せます。
善玉菌は身近な食材から補給できるので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
食生活の見直しと合わせて、生活リズムを整えたり、運動を取り入れたりすることも効果的です。
腸内環境を整えることを意識するだけで、さまざまな身体の不調を回避できる可能性があるので、ぜひお試しください。
監修者コメント
管理栄養士
浜野美波
腸内を善玉菌優位にするためには、善玉菌そのものを摂ること、その善玉菌が元気に働くためのエサになるものを摂ること、両面から考えることが大切です。
記事内で紹介されているレシピは、ヨーグルト×食物繊維・オリゴ糖の組み合わせでしたが、その他にも、例えばみそ汁も、発酵食品である味噌と、食物繊維を多く含む野菜、海藻、キノコなどで、善玉菌とそのエサになるものを両方摂ることが出来ます。
継続することが大切!ご自身の食生活に取り入れやすいものを選んでみてくださいね。