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ビフィズス菌とは?乳酸菌との違いや種類、効果的な摂取方法を解説
「ビフィズス菌がおなかに良いらしいと聞いたことがあるけれど、実際どのような効果があるのだろう?」このような疑問をお持ちの方は多くいます。
ビフィズス菌はおなかに良いはたらきをする菌として知られていますが、実は普段の食事からはほとんど摂取できません。
意識しないと摂取しにくいビフィズス菌を効果的に摂るためには、正しい情報を把握しておくことが重要です。
今回はビフィズス菌の種類や摂り方についてまとめ、摂取時の疑問にお答えしました。
健康のためにビフィズス菌を摂取したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
ビフィズス菌とは
「ビフィズス菌」とは腸内細菌の一種で、2023年10月現在、100種類以上が見つかっています。
「ビフィズス」とは、ラテン語で「分岐」を指す言葉で、これはビフィズス菌がV字やY字状に分岐した特徴的な形であることが名前の由来となっています。
1500万年前からヒトの腸内で進化してきたと言われるビフィズス菌は、ヒトの健康に深く関わる重要な役割を担ってきました。
ビフィズス菌におなかの調子を整える効果があることをご存じの方は、多くいらっしゃるかもしれません。
しかし近年は、アレルギーの緩和や認知機能の維持など、おなかだけでなく全身の健康に良い影響を与えていることがわかってきています。
ビフィズス菌は「善玉菌」の代表格で、腸内環境を良好に保つために必要な存在です。
ビフィズス菌が多く大腸内にある状態のほうが、身体を健やかに保てる可能性が高いと言えます。
ビフィズス菌と乳酸菌の違い
ビフィズス菌と乳酸菌はどちらも腸内に生息する腸内細菌のなかまですが、それぞれの性質は異なります。
主な違いを以下の表にまとめました。
名称 | 大腸内に生息している割合* | すんでいる場所 | 主なつくるもの |
---|---|---|---|
ビフィズス菌 | 99.9% | 主に大腸 |
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乳酸菌 | 0.1% |
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*乳酸菌を旧Lactobacillus 属とした場合
離乳食開始前の赤ちゃんの大腸内は、約半数がビフィズス菌で占められています。
*Odamaki et al.,BMC Microbiology(2016)
おなかの中の状態は目で確認できないので実感しにくいのですが、加齢とともに大腸内のビフィズス菌は減少していくことが分かっています。
何もしなければ自然に減っていくビフィズス菌の数をキープするためには、積極的なビフィズス菌の摂取が必要になるのです。
ビフィズス菌の効果が出るまでの時間
ビフィズス菌は薬ではないので、摂取しても、すぐに大きな変化があらわれることは考えにくいでしょう。
摂取したビフィズス菌は、数日で体外に排出されてしまう性質があります。
そのため「効果が出るまで」という感覚ではなく、常にビフィズス菌を摂取する意識が大切です。
少量でも良いので毎日コツコツと摂取し続けることや、ビフィズス菌を増やす行動を心がけることが肝心です。
ビフィズス菌の作用
ビフィズス菌は、乳酸や短鎖脂肪酸(酢酸)などの有機酸を生成することで、大腸内の悪玉菌の増殖を抑制します。
この短鎖脂肪酸(酢酸)には腸の上皮を丈夫にしたり、大腸の動きを活発にしたりするはたらきがあり、体内に有害物が入りにくいようにバリアしてくれるのです。
また、葉酸を含むビタミンB群などの有用物質を生成することでも知られています。
ビフィズス菌は種類によって作用が異なり、整腸以外にも様々な作用をもつビフィズス菌も報告されています。
ビフィズス菌の種類
以下ではヒトの健康に良い影響を与える3つの菌を紹介します。
ビフィズス菌BB536
ビフィズス菌BB536は、乳児のおなかから発見されたもので、ヒトのおなかにすむ種類のビフィズス菌の一種です。
ビフィズス菌BB536は、ヒトのおなかにすむほかのビフィズス菌よりも酸や酸素に強い性質を持ち、生きたまま大腸に届きます。
整腸作用をはじめ、抗アレルギー作用などの機能性が長年の研究で明らかになっています。
世界中の累計30か国以上で食品に使用されており、多くの研究論文も発表されているビフィズス菌です。
ビフィズス菌MCC1274
ビフィズス菌MCC1274も、乳児のおなかから発見された菌です。
ビフィズス菌MCC1274には、記憶力*を維持する作用があることが近年の研究によって明らかになってきました。(*記憶力とは見たり聞いたりした内容を記憶し思い出す力のこと。)
腸と脳には密接な関係があり、互いにさまざまな影響を与えあっています。
たとえば「緊張しておなかが痛くなる」という状態は、脳から出た信号がおなかに影響することにより起きていると考えられます。
逆に便秘や下痢などおなかの不調がずっと続くと、気分まで落ち込んでしまう方も多いでしょう。
このように、双方には深い関係があることが多くの研究によって解明されてきています。
ビフィズス菌M-16V
ビフィズス菌M-16Vは、赤ちゃんのおなかから発見されたビフィズス菌です。
この菌には低体重で生まれた赤ちゃんの成長を助ける効果があることが報告されています。
健康な赤ちゃんの大腸内にはビフィズス菌が多数存在しますが、小さく生まれた赤ちゃんの大腸内ではその量が不足していることがあります。
このような場合にビフィズス菌M-16Vを投与することで、赤ちゃんの腸内フローラを良い環境に導けるのです。
ビフィズス菌M-16Vは、現在国内150か所以上のNICU(新生児集中治療管理室)において、低出生体重児のために利用されています。
ビフィズス菌はどうやって摂れるの?
ビフィズス菌を摂取するには、以下2つの方法があります。
- サプリメント
- ビフィズス菌入りのヨーグルト
ビフィズス菌は、上記以外の一般的な食品からは摂取できないことを覚えておきましょう。
またヨーグルトに関しては「ビフィズス菌入り」と記載された商品のみが該当します。
すべてのヨーグルトにビフィズス菌が含まれているわけではないので、パッケージを確認してから購入すると良いでしょう。
「発酵食品がおなかに良い」といった話を耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、発酵食品から摂取できるのは乳酸菌で、ビフィズス菌は摂取できません。
乳酸菌も善玉菌の一種なので、発酵食品を摂取することはオススメです。
ただし、前述のとおり大腸内には圧倒的にビフィズス菌が多くなっています。
ビフィズス菌を摂るなら、ビフィズス菌入りヨーグルトやサプリメントを活用すると効率的でしょう。
ビフィズス菌を増やす方法は?
大腸内にもともといるビフィズス菌や、摂取したビフィズス菌を増殖させるためには、ビフィズス菌のエサとなる食品を摂るとよいでしょう。
ビフィズス菌や乳酸菌などのエサとなる食品のことを「プレバイオティクス」と呼びます。
腸内でビフィズス菌を増やすには、プレバイオティクスの存在が必要不可欠なのです。
オリゴ糖や食物繊維の一部がプレバイオティクスに該当します。
オリゴ糖には、ミルクオリゴ糖(ラクチュロース)やガラクトオリゴ糖など数種類があり、粉末状や液状で販売されていますので、積極的に摂取することがオススメです。
ビフィズス菌に関するよくある質問
ビフィズス菌についてよくある質問と回答を以下にまとめました。
ビフィズス菌の摂りすぎはよくないの?
ビフィズス菌は一度に大量に摂るのではなく、毎日の摂取がオススメです。
なぜなら、摂取したビフィズス菌は一定期間で体内から排出されてしまうため、一度に多く摂取しても蓄積しておけないのです。
ビフィズス菌は少しずつでも、毎日欠かさずに継続的に摂取することが重要です。
ビフィズス菌はいつ摂るのが効果的?
ビフィズス菌は一日のうち、朝昼晩のいつ摂取しても問題ありませんが、食後に摂取すれば胃酸の影響を受けにくくなります。
ただし摂り忘れないことが重要なので、習慣化しやすい時間帯に摂取いただくとよいでしょう。
たとえば「毎朝食後に摂取する」「寝る前に摂取する」など、自分でルールを決めておくと忘れにくいです。
もし摂取し忘れてしまっても、また気づいたタイミングから始めれば良いのであまり神経質になる必要はありません。
ビフィズス菌と混ぜて食べてはいけないものはある?
ビフィズス菌と混ぜると悪影響を及ぼす食品は、とくにありません。
ヨーグルトには、はちみつやオリゴ糖を混ぜるなど、ビフィズス菌のエサとなり、食物繊維やオリゴ糖を含む食品を摂取するよう心がけると、ビフィズス菌の増加を促せるようになります。
ビフィズス菌で全身の健康を整えよう
ビフィズス菌は、腸内環境を整えるために重要な存在です。
大腸の状態は、おなかだけでなく全身の健康状態にも関わってくることを覚えておきましょう。
大腸内のビフィズス菌は、年齢とともに自然と減少してしまうので、こまめに補給できるように準備しておくことが大切です。
ビフィズス菌の摂取を習慣付けて、良好な腸内環境を保ちましょう。
監修者コメント
管理栄養士
平野ふみ
腸内環境に良い善玉菌の代表的な菌「ビフィズス菌」と「乳酸菌」。でも、この2つの菌には違いがあります。
乳酸菌は発酵食品などに多く含まれ、乳酸を生成します。
ビフィズス菌はビフィズス菌入りヨーグルトやサプリメントから摂取することができ、乳酸だけではなく酢酸も生成できることから、悪玉菌の増殖抑制に繋がります。
毎日手軽にできることから習慣にしていきましょう。